
現在、さまざまな業界での自動化がささやかなブームを見せています。その中でも、ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)は、仕事の自動化を行うための有力なツールとして注目を集めています。この記事で紹介させていただきます。

RPA(Robotic Process Automation)は、業務プロセスを自動化するための技術であり、従来は人間が手動で行っていた作業をソフトウェアロボットが代行する仕組みです。この技術は、主に定型的で繰り返し行われるタスクの効率化やコスト削減を目的としています。
RPAは、人間があらかじめ作成したルールや手順(シナリオ)に従って、PC上の業務をロボットが自動で実行する仕組みです。 Excelを利用した業務であれば、Excelマクロを使って作業を自動化することも可能ですが、RPAはそれ以上に簡単かつ柔軟に自動化シナリオを構築できます。 多くのRPAツールは、プログラミングの知識を必要としない「ノーコード(No Code)」や、ドラッグ&ドロップなどで簡単に操作できる「ローコード(Low Code)」に対応しているため、専門的なITスキルがないユーザーでも利用できます。 さらに、RPAは他の外部ツールと連携できる機能を備えているものが多く、複数のアプリケーションやツールにまたがる作業も効率的に自動化することが可能です。

UiPath社が提供するRPAソフトは、米国ニューヨークに本社を構える同社の製品であり、「世界三大RPAソフト」の一つとして広く認知され、絶大な人気と信頼を得ています。
使いやすいインターフェース
UiPathでは、ドラッグ&ドロップ操作を使用してロボットの「アクティビティ」(Activity)を設定し、業務や作業を自動化するロボットを簡単に作成できます。直感的な操作が可能で、説明書を詳しく読む必要がない点が大きな特徴です。
基本的にコーディングを必要とせず(複雑な処理ではコーディングが必要な場合もあります)、プログラマーでなくても簡単にロボットを構築できます。その結果、正確かつ迅速にさまざまな業務を自動化でき、働き方改革において重要なツールとされています。また、UiPathのツールはオープン性が高く、テンプレートや豊富なライブラリを活用して効率的に設計が可能です。これにより、不要な機能を取り入れることなく、必要なものだけを選択できます。
さらに、最初は必要最低限の機能でスタートし、必要に応じて計画的に拡張していくことも容易です。ロボットの数や機能が増える場合でも、スムーズに対応できる柔軟性があります。
高い柔軟性を持つ
このプラットフォームはオープンなデジタル環境を提供しており、ブラウザー操作に加えて、WindowsアプリやMicrosoft Officeの操作も安定して自動化できる点が特徴です。
さらに、画像から情報を取得する画像スクレイピングやOCRによる文字認識にも対応しています。また、SalesforceやSAPなどの業務アプリケーション、さらにはホストコンピューターのターミナルで動作するアプリケーションなど、幅広い環境における自動化が可能です。
利用可能な命令(アクティビティ)は400種類以上に及び、いずれも視覚的に操作できるよう設計されています。また、実際の操作を記録して自動化シナリオを生成するレコーディング機能も備えており、他のRPAツールと比較して使いやすい点も大きな魅力です。
社内のロボットを一括で管理できる
RPAの導入においては、Excelマクロと同様に、ロボット開発が進むにつれて管理が行き届かなくなり、「野良ロボット」の蔓延というリスクが発生する可能性があります。このような状況はコンプライアンスやセキュリティの面で大きな懸念となりますが、ロボット全体を統制できる管理ツールを導入することで対応可能とされています。
UiPath Orchestratorは、社内で稼働するロボットをネットワーク経由で一元管理できるツールです。このツールを使用することで、ロボットの展開や稼働状況の把握、さらにはログの記録・分析まで効率的に行うことが可能です。
UiPathを活用して仕事をする際の流れを紹介します。
お客様のヒアリング
RPAエンジニアは、業務を進める際にまずユーザーとのヒアリングを実施します。このプロセスを通じて、ユーザーが抱える課題を明確にし、UiPathを活用してどの業務を自動化するかを決定し、適切な解決策を提案します。
また、ユーザー自身が自社の業務上の課題を十分に把握していない場合もあるため、RPAエンジニアが効果的なヒアリングを行い、潜在的な課題を引き出すことが非常に重要となります。
対象業務の選定
RPAエンジニアは、ヒアリングで得た情報をもとに、自動化の対象となる業務を選定します。その際、どの業務を具体的に自動化したいのか、ユーザーの要望を正確に把握することが重要です。
さらに、ヒアリングを通じてユーザーの業務内容への理解を深めておくことも、適切な自動化を提案する上で欠かせません。
設計
RPAエンジニアの重要な役割の一つは、RPAをどのように実現するかを設計することです。そのためには、設計に入る前に要件定義をしっかりと行う必要があります。
要件定義を基に、業務の自動化を実現するためのロボットの詳細な設計を進めていきます。
シナリオ作成
RPAの設計において重要となるのがシナリオの作成です。シナリオとは、RPAに実行させる業務の処理フローを視覚的に表現したものであり、このシナリオを基にロボットが作成されます。
ただし、シナリオによってはRPAの動作が不安定になったり、エラーが発生することがあります。そのため、RPAエンジニアには、精度の高いシナリオを作成する能力が求められます。
テスト
開発が完了した後は、テストを実施することが不可欠です。十分にテストを行わずに納品すると、多くのバグが発生する可能性が高まります。
運用開始後に改修を行う場合、コストと時間が大幅にかかるだけでなく、ユーザーからの信頼を損ねるリスクもあります。そのため、ロボットの機能が正確に動作することを確認するために、徹底したテストを行う必要があります。
納品書/仕様書等のドキュメント作成
RPAの開発が完了し、テストが終了した後は、納品書や仕様書などのドキュメントを作成します。
ユーザーがRPAを正しく利用できるように、操作方法をマニュアルとしてまとめることが重要です。これにより、ユーザーの満足度を高めることができます。また、トラブルが発生した際の対応方法についても、明確に記載しておく必要があります。
改修
ユーザーが納品されたRPAを運用する中で、さまざまなトラブルが発生することがあります。その際、RPAエンジニアがメンテナンスを行い、問題が発生した場合には迅速に改修を行うことが重要な役割となります。
迅速に改修対応を行わないと、ユーザーの業務に支障をきたす可能性があります。そのため、RPAの動作を安定させるために必要な対応を適切に行うことが求められます。
日々の業務の中には、UiPathに任せられるタスクが意外と多くあります。定型的な作業や単純な業務をUiPathに自動化させることで、効率化を進めてみるのも一つの方法です。導入してみるのはいかがでしょうか?